世界的に被害が広がっているトマトキバガですが、近年その生息範囲が日本にも広がっています。
農家さんはもちろん家庭菜園をしている方も影響が気になるところです。
そこで今回の記事ではトマトキバガが野菜に及ぼす影響と現在行われている対策について紹介します。
トマトキバガとは?
トマトキバガは国が重要病害虫に指定している小型の蛾の一種で、その名の通りトマトに食害をもたらす害虫です。
トマト以外にもナスやトウガラシ、バレイショなどのナス科の植物やインゲンマメにも被害が及びます。
繁殖力がかなり高く、1匹のメスは一生のうちに平均260個の卵を産みます。
世界でもかなり広い範囲で猛威を振るっていましたが、日本でも2021年10月に熊本県で初めて確認されました。
世界的にも経済的な損失を与えるほどの害虫です。
トマトキバガが野菜に及ぼす影響
トマトキバガの幼虫はトマトの果実に穴を空けて侵入し、収量、品質に悪影響を与えます。
やっかいなことにトマトキバガは生育状態が良好なトマトほど好むという研究結果もあり、グルメな虫のようです。
また、葉っぱにも食害が出ます。
ハモグリバエの被害に似ていますが、ハモグリバエよりも広範囲に食害痕が残るので葉っぱの食害は注視するようにしましょう。
トマトキバガの幼虫は体長約8mmほどで淡緑色や淡赤色をしています。
頭の近く(胸にあたる部分)には黒い帯状の模様があります。
トマトキバガの対策
トマトキバガは比較的新しい侵入種であるため、その生態についてはあまり知られていません。
グラシン紙の袋を使用すると、トマトへのダメージが 70% 以上減少することがわかっていますがすべての実に袋をかけるのは作業量的にも現実的ではありません。
そこで現在国内で行われている防除策について紹介します。
農薬による防除
2021年に熊本県で確認された際は農薬での防除を実施しています。
トマトキバガに対しては以下の農薬を使用して防除を行ってください。(一部抜粋)
熊本県病害虫防除所(http://www.jppn.ne.jp/kumamoto/R3/yosatu/kibaga.pdf)
2022年7月時点でトマトキバガに対する登録農薬はありませんが、各都道府県によっては植物防疫法第29 条1項に基づく措置として農薬が使用可能となっている場合があります。
有害動物又は有害植物がまん延して有用な植物に重大な損害を与えるおそれがある場合において、これを駆除し、又はそのまん延を防止するため必要があるときは、都道府県は、植物を検疫し、又は有害動物若しくは有害植物の防除に関し必要な措置をとることができる。
よく観察し、見つけ次第捕殺する
これは害虫被害の基本的な対応ですが、被害を広げないためにも畑の見回りはこまめに行い、幼虫を見つけ次第、捕殺していきましょう。
実や葉っぱを確認し、食害があるようだと要注意です。
家庭菜園でできるのはこの辺が現実的ですね。
被害を見つけたら放置しない
トマトキバガに被害を受けた葉っぱや実は野外に放置せずに処分しましょう。
放置することで被害が拡大してしまう可能性があります。
今後期待すること
トマトキバガに関して、私が今後期待しているのは生物学的防除です。
生物学的防除というのは害虫の天敵となる生物や性フェロモンによる防除を行う方法です。
以下は海外のYouTube動画ですが参考になるのでご覧ください。
※スペイン語の動画ですが「設定」の「字幕」⇒「自動翻訳」⇒「日本語」で日本語の字幕を出すことができます。
海外でのトマトキバガの被害や生物学的防除への期待が伺えます。
まとめ
トマトは家庭菜園でも人気の野菜です。
トマトキバガによる食害を受けてしまうと育てた野菜をダメにしてしまうのはもちろんトマトキバガの繁殖の手助けをしてしまうことにもなりかねません。
家庭菜園だからといって油断せず、しっかりと防除に努めましょう。
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